コラム”M&A直前の資金移転はご法度?”

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コラム”M&A直前の資金移転はご法度?”

あまり多いケースではございませんが、

弊社にM&Aによる売却の相談をいただくお客様から以下のようなご相談を受けることがあります。

会社に(当然会社名義の)現金があります。

これを売却前に、合法的に、自分に移転したい。。。

勿論、法的には可能です。

例えば、

①代表者から会社への貸付金があれば、その返済として、会社から代表者に資金を移転する

②退職金として、会社から代表者に資金を移転する(規定を新たにつくる)

③配当を出し、会社から代表者(株主)に資金移転する

④個人の資産(不動産など)を会社に売却することで資金を移転する

など

これらの施策には、2点の注意が必要です。

①から④の実施はいずれも会社の価値(譲渡価格)に変化はない。

例えば、

現金が1億ある会社の譲渡価格が、1億円だったとします。

(有りえませんが、話を簡略するため)

譲渡直前に、退職金を3千万円会社から代表者に資金移転したとします。

すると、1億の譲渡価格は、現金1億に基づいて算定された譲渡価格ですので、

譲渡価格は、流出した3千万円分減価して、7千万円になります。

結局、資金流出する前と流出後、M&Aによって代表者が手にする金額は

同じになります(税引き前)。

これは何となく理解できると思います。

次に2点目の注意です。こちらが重要です。

上記のことをM&Aに着手、相当前に実施しているならまだしも、

M&Aに着手した時或いはその直前に上記を実施することによって、

買い手側の印象は極めてネガティブになります。

つまり、これらの行為はM&Aにおいては、百害あって一利なしなのです。

①から④のようなことを直前に実施ぜずとも、通常まともなM&Aアドバイザーであれば、

買い手側の相談の上、代表者様の税引き後の手取りがもっと大きくなるスキームを

組んでくれるはずです。

くれぐれもM&A直前の資金移転には注意してください。